令和2年度中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業(食品輸出調査)調査報告書

掲載日: 2021年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易振興課
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報告書概要

この報告は、日本の中堅・中小食品製造業者がタイとの協業を通じて海外市場へ参入するビジネスモデルについて書かれた報告書である。

従来の日本食品輸出支援は小売業や飲食店を対象とした完成品輸出が中心であったが、価格設定の困難さや輸入規制の高いハードル、さらに人手不足・情報不足・資金不足といった内的課題により、中堅・中小製造業者の輸出は思うように進展していない状況にある。一方で、日本の食品は世界的に高品質として評価されており、特にASEAN地域では抜群のブランド力を持ち、経済成長に伴う所得向上により日本食への需要が一層拡大している。

本調査は国内調査と海外調査を通じて、タイの食品製造業者との協業可能性を検証した。国内では北海道を中心とした食品製造業者へのヒアリングを実施し、海外ではタイの食品製造業者の連携ニーズや実績を調査した。法務・知的財産権の観点から、タイの食品輸入規制や外資規制を整理し、協業パターンごとのリスクと対応策を検討した。

調査結果から、タイの食品製造業者は日本の食材や製造技術への関心が高く、差別化戦略として積極的に取り入れたい意向があることが判明した。北海道の資源を原料としてタイで生産することで、商品のイメージアップと安価な生産の両立が可能である。収益モデルとしては、技術指導料として売上の一定割合を徴収する基本契約方式が有効とされる。

また、タイを拠点とした第三国への輸出可能性も確認され、ASEAN経済共同体の6億人市場への展開が期待される。一方で、協業相手の選定や収益確保の方法については慎重な検討が必要であり、現地の競争環境や規制動向を十分に把握することが重要である。