令和2年度 製造基盤技術実態等調査(サイバーフィジカルシステムの戦略的導入等に係る調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省による令和2年度製造基盤技術実態等調査として実施されたサイバーフィジカルシステムの戦略的導入等に係る調査報告書である。製造業を取り巻く外部環境の変化として、少子高齢化による労働力・技術力の減退が進む一方で、顧客ニーズの多様化や環境規制の強化により業務の要求水準が高まっており、そのギャップ解消においてデジタル技術の活用が必須となっている。製造業においては研究開発から販売・サービスまでの各業務プロセスにおいて、社内外のデータ連携の推進が不可欠であるが、現状では多くの課題が存在する。特に間接販売や製品のIoT化の遅れ、企業・部門ごとに異なるシステムの使用、サプライヤー構造の複雑さ、工場により異なる生産管理システムなどにより、データ連携が阻害されている。これらの要因として、レガシーシステムの残存、システム・データフォーマットの標準化不足、IT推進体制・人材の不足、データ連携の具体的方策やベネフィットが不明、コスト負担の問題などが挙げられる。解決策として、メーカーは経営体制の変革と経営層の意識変革を初手として、組織能力の構築と新たなテクノロジーの採用を進めることが重要である。政府側は、コーディネーションの促進、インセンティブの付与、公共財の提供の観点から、問題提起・ビジョン提示、協議会・標準化団体の設立支援、補助金・税制優遇措置、標準ITシステムの無償提供、IT教育の強化などの具体的な打ち手を検討することが肝要であると結論付けられている。
