令和2年度産業経済研究委託事業(デジタルトランスフォーメーション等を通じた製造業のサプライチェーンマネジメントの強化に向けた技術動向調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、デジタルトランスフォーメーション等を通じた製造業のサプライチェーンマネジメントの強化に向けた技術動向について書かれた報告書である。新型コロナウイルスの世界的感染拡大によるサプライチェーン寸断リスクへの対応として、企業変革力であるダイナミック・ケイパビリティの強化が重要とされ、特に調達物流やデジタル化に焦点を当てた調査が実施された。調査では、グローバルサプライチェーンに着目し、物流・生産拠点・調達先を含む全体的な視点から分析が行われた。日系製造業における物流管理の経緯では、高度経済成長期の物流子会社設立から、バブル崩壊後の物流アウトソーシング進展、3PLの台頭といった変遷が示されている。コロナ禍が製造業サプライチェーンに与えた影響として、世界各国のロックダウンによる工場操業停止や調達先の多様化需要が生じた。また、経済安全保障政策やグリーン政策といった新たなリスク要因も明らかになった。製造業のサプライチェーン強化に向けては、可視化、部品共通化、生産拠点分散、調達先分散、在庫確保、代替物流網構築、BCP策定、内製化・モジュール化、地産地消といった9つの取組が検証された。今後の課題解決に向けては、政府による標準化推進や国際競争力格差解消支援、事業者による多様化リスクへの適切対応と企業間連携による全体最適実現が求められている。デジタル化推進には官民連携が不可欠であり、特に中小企業支援の効果的なあり方が重要とされている。
