令和2年度デジタル×観光による安全安心な稼げる観光の確立に向けた調査事業【調査報告書(概要版)】
報告書概要
この報告は、令和2年度におけるデジタル技術と観光の融合による安全で収益性の高い観光産業の確立に向けた調査事業について書かれた報告書である。株式会社クニエが実施した本調査は、観光温泉地および旅館業に焦点を当て、有識者会議を通じて業界の現状分析と課題解決の方向性を検討している。有識者会議には井門隆夫氏をはじめとする観光経営、デジタル技術、宿泊事業再生、地域活性化の専門家5名が参画し、地域全体の魅力度向上と各旅館・事業者による取組推進の両面から政策検討を行った。調査では市場全体の産業活性化、地域全体の魅力度向上、経営全体の3つの観点から現状分析と課題検討を実施している。産業活性化の課題として、環境変化に応じた事業変革の遅れ、事業承継の停滞、投資家やファンドの活用不足、地域の面的再生の遅れが挙げられている。地域全体の魅力度向上では、データ活用による面的取組推進とMaaSの実装における課題が指摘されている。経営面では経営分析・事業計画策定の不足、人材確保の困難、泊食分離による効率化の遅れ、共同事業や共同仕入れの推進不足、ITによる業務効率化の格差などが課題として特定された。解決策として地域中核企業のハブ化、IT専門家による中長期伴走支援、地域全体のデジタル変革支援、データ収集・分析基盤の構築などが提案されている。具体的な先行事例として宿屋EXPOによる旅館間のリソース交換ネットワーク、EBILABのデータ分析システム、バカンの混雑情報提供システムなどが紹介されており、これらの取組が業界の変革と競争力強化に寄与する可能性が示されている。
