令和2年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利活用環境整備・データ利用促進事業(民間事業者への宇宙状況把握サービス提供のためのプラットフォームの構築に向けたフィージビリティスタディ事業)調査報告書

掲載日: 2021年5月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局航空機武器宇宙産業課宇宙産業室
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令和2年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利活用環境整備・データ利用促進事業(民間事業者への宇宙状況把握サービス提供のためのプラットフォームの構築に向けたフィージビリティスタディ事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、民間事業者への宇宙状況把握サービス提供のためのプラットフォーム構築に向けたフィージビリティスタディについて書かれた報告書である。

スペース・デブリは年々増加しており、地上から追跡できる10cm以上のものだけでも2万3000個を超えている。これらは秒速7~8kmで軌道上を周回するため、衛星やロケットへの衝突被害は甚大である。人工衛星が重要なインフラとなり、小型衛星のコンステレーション化により宇宙空間の混雑化が進む中、スペース・デブリとの衝突回避が重要な課題となっている。

本調査では、衛星運用事業者をはじめとする民間事業者が活用可能なSSAサービスを提供する「民生SSAプラットフォーム」の構築を目指し、その機能、必要なデータ、技術的成立性について検討した。調査は三菱総合研究所、日本宇宙フォーラム、JAXA、富士通、NECの計4社で実施された。

ニーズ調査では、ロケット打上げ事業者、衛星運用事業者等にアンケートとヒアリングを実施し、現状のCSpOCサービスの問題点として、データ精度の不足、提供頻度の低さ、日本語対応の不備等が明らかとなった。これらの結果から、打上時接近解析、軌道情報提供、衛星運用時接近解析、回避計画立案支援等13種類のサービスを定義した。

データ入手検討では、既存のSSA関連機関・企業が提供するデータを調査し、軌道情報、軌道予測、接近解析情報等8種類のデータ要件を整理した。CSpOCデータとの比較により、精度向上、提供頻度増加、日本語対応等のギャップを特定した。

概念検討では、統合データベースを中核とするシステム構成を提案し、CDM受領時の回避行動判断支援、観測要求機能、接近解析機能等の試作を行った。これらの機能により、現状の手動による判断プロセスから自動化・効率化された運用への転換が期待される。

プラットフォーム構想案では、政府基幹システムを補完する民生プラットフォームとして、独自センサの活用、市場規模の推定、事業モデルの検討を行った。世界のSSA市場は2027年までに大幅な成長が見込まれ、日本でも商用市場の拡大が期待される。プラットフォームは、データ統合・解析、サービス提供、ビジネス創出の場として機能し、民間事業者のSSAサービス利用促進とデータ流通活性化を目指すものである。