令和2年度 内外一体の経済成⻑戦略構築にかかる 国際経済調査事業 (企業の調達先多様化・立地選択と サプライチェーン可視化に関する調査) 報告書

掲載日: 2021年5月27日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局企画調査室
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令和2年度 内外一体の経済成⻑戦略構築にかかる 国際経済調査事業 (企業の調達先多様化・立地選択と サプライチェーン可視化に関する調査) 報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和2年度に実施された企業の調達先多様化・立地選択とサプライチェーン可視化に関する調査について書かれた報告書である。新型コロナウイルス感染拡大によるサプライチェーン寸断を踏まえ、サプライチェーンの強靭化の必要性が指摘される中、短期及び中長期の対外経済政策の企画・立案に資することを目的として調査が実施された。

多様化を迫るリスクイベントとして、自然災害、地政学的リスク・政策不確実性、感染症の3つが挙げられ、それぞれが企業のサプライチェーンに異なる影響を与えることが明らかにされた。自然災害は局所的な寸断を、地政学的リスクは特定国・地域からの移転を、感染症は世界的な機能障害をもたらすとされる。企業の対応事例として、東日本大震災やタイ洪水、熊本地震における生産拠点の変更や調達元の変更が詳細に分析され、米中貿易摩擦における拠点移転の動きも検証された。

企業の立地判断については、海外移転と国内移転それぞれの要因が整理され、事業機会の存在・規模、事業実現前提条件の充足、付加価値の獲得機会、効率化機会、リスクマネジメントなどが海外移転の主要因として挙げられた。政策面では、対外直接投資誘致による産業育成、海外移転企業の国内回帰誘致、外国投資制限による国内産業保護、サプライチェーン強靭化政策の4つのアプローチが分析された。

サプライチェーンの把握可視化については、リスクマネジメントの観点とIndustry 4.0の導入という2つの誘因が示され、ブロックチェーン技術の活用可能性が詳細に検討された。ブロックチェーン導入の要因として、取引の非効率性解消、可視化の必要性、レジリエンス強化、技術進展などが特定され、効率性向上やトレーサビリティ確保などの効果が期待される一方、導入コストや技術課題、法規制整備などの障壁も存在することが明らかにされた。業界別の導入状況についても、各業界のサプライチェーン特性に応じた導入効果の違いが分析され、今後のサプライチェーン強靭化に向けた包括的な知見が提示されている。