令和2年度重要技術管理体制強化事業(中小企業アウトリーチ事業(営業秘密漏えい対策))調査報告書
報告書概要
この報告は、日本企業の海外における営業秘密管理体制強化について書かれた報告書である。経済産業省の委託により日本貿易振興機構が実施した令和2年度重要技術管理体制強化事業の成果をまとめたものである。
グローバル化に伴い海外進出する日系企業が増加し、技術情報等の漏洩リスクが拡大している状況において、約9割の企業が営業秘密の漏洩リスクの高まりを感じており、特に海外での漏洩防止管理体制の整備が急務となっている。中小企業では限られたリソースのもと、営業秘密管理の重要性認識や管理体制整備が不十分な状況が散見される。
本事業では、在外日系中小企業を主な対象として、専門家によるハンズオン支援と情報提供・普及啓発活動を実施した。中国、タイ、ベトナムに進出する日系企業33社に対し、現地専門家による営業秘密管理状況のヒアリング、アドバイス、契約書等の改正案作成、現場確認、従業員研修等の個別支援を行った。その結果、29社中20社で営業秘密漏洩防止策が導入され、具体的には秘密保持契約の作成・締結、管理台帳の作成、社内規程の更新、契約書の改善等が実施された。
普及啓発活動として、日本国内および海外において個別支援企業募集セミナー、成果普及セミナー、技術流出防止管理説明会を開催し、営業秘密管理の重要性を啓発するとともに、モデルケースや流出事例の紹介を通じて企業の意識向上を図った。また、タイ・ベトナムについては現地の法令や制度に基づいた営業秘密管理マニュアルを作成し、企業が実践的に活用できる指針を提供した。これらの取り組みにより、海外での技術・ノウハウの意図せぬ流出防止に向けた体制整備を支援している。
