令和2年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(プラスチック等資源循環推奨調査)報告書
報告書概要
この報告は、プラスチック資源循環戦略の具体化に向けた調査について書かれた報告書である。
経済産業省が令和2年度に実施した本調査は、プラスチックの資源循環を総合的に推進するため、3R+Renewableを基本原則とした「プラスチック資源循環戦略」の実現に必要な基礎データの収集と分析を目的としている。調査内容は、各業界における環境配慮設計の実態把握、ワンウェイプラスチックの出荷実態調査、プラスチック廃棄物の処理実態及び再商品化事業者の地理的分布調査、事業者による自主回収システムの現状分析、欧州における容器包装プラスチック関連政策の詳細調査である。
環境配慮設計では、リサイクル可能性の向上や代替素材の活用状況が業界ごとに異なることが明らかとなった。プラスチック廃棄物処理については、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの技術動向と処理能力の地域分布が整理された。事業者による自主回収では、店頭回収や宅配回収など多様な取組事例が確認されたが、回収量の拡大や経済性の確保に課題があることが判明した。
欧州調査では、EU全体の容器包装及びプラスチック関連政策の体系的な分析に加え、ドイツ、フランス、イギリスの容器包装リサイクル制度の詳細な比較検討を実施した。特にドイツのDual System、フランスのCITEOによるシステム、イギリスの証書取引制度について、運営体制、回収対象、目標設定、実績評価の観点から分析し、各国制度の特徴と課題を整理した。またイギリスでは2022年から再生プラスチック利用率30%未満の容器包装に課税する新制度の導入が予定されており、経済的インセンティブによるリサイクル促進策の動向も調査された。
これらの調査結果は、産業構造審議会と中央環境審議会の合同会議における審議に活用され、今後のプラスチック資源循環政策の検討基盤として重要な役割を果たしている。
