令和2年度燃料安定供給対策に関する調査事業(国内石油製品取引慣行等に関する実態調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、国内石油製品取引慣行の実態について書かれた報告書である。令和2年度に資源エネルギー庁の委託により実施された調査で、石油業界における元売と特約店、特約店と販売店間の取引慣行を詳細に分析している。平成27年頃から石油業界では、元売が系列SS事業者向けに通知する仕切価格が原油コストの変動幅より高値で変動する傾向が見られ、その結果として事後的な価格修正(建値化)が頻発し、SS事業者の自主的で合理的な経営が阻害される状況が生じていた。この問題を受けて平成29年3月に策定された「ガソリン適正取引慣行ガイドライン」の効果を検証することが本調査の主要な目的である。調査結果では、事後的な価格調整を受ける事業者の割合は継続して減少傾向にあり、特約店では平成29年度の32%から令和2年度には6%まで、販売店では27%から9%まで大幅に減少している。一方で販売促進支援を受ける事業者は微増傾向にあり、支援を全く受けていない事業者の割合は特約店で71%、販売店で76%となっている。ガイドライン発行後、仕切価格の建値化は着実に解消されつつあり、業転玉の仕入れ割合による支援格差も縮小している。調査では石油製品の取引環境、SS経営の実態、デジタル化の状況、新型コロナウイルスの影響など幅広い側面から分析を行い、石油業界の取引慣行改善の進展状況を明らかにしている。
