令和2年度産業経済研究委託事業(税制が企業に及ぼす影響の実態把握を目的とした税務に対する意識調査事業) 報告書

掲載日: 2021年6月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局企業行動課
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令和2年度産業経済研究委託事業(税制が企業に及ぼす影響の実態把握を目的とした税務に対する意識調査事業) 報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省が実施した税制が企業に及ぼす影響の実態把握を目的とした税務に対する意識調査事業について書かれた報告書である。

本調査では、成長志向の法人税改革による法人実効税率引下げや課税ベース拡大といった税制改正が企業に与える影響を把握するため、全国4,740社を対象とした企業の税務に対する意識調査を実施した。調査結果では、税務に係る事務コスト削減に向けた組織目標として、税務の適正化・効率化、電子化対応、システム導入、外部委託の拡大、内製化、外部委託の効率化の6つの方向性が確認された。企業規模別の分析では、資本金100億円超の大企業ではシステム導入と外部委託の効率化を重視し、10億円超100億円以下の企業では電子化対応とシステム導入に注力する傾向が見られた。一方、1億円超10億円以下の中小企業では外部委託と内製化の二分化が進んでいることが明らかになった。

また、電子申告の導入効果については、約7割の企業が事務負担軽減を実感している一方、3割の企業では効果が限定的であることが判明した。効果を感じる企業からは、自治体や税務署への紙書類送付の手間軽減、修正作業の容易化、データ処理による転記作業負担軽減、リモートワーク対応の実現といった具体的な効果が報告された。

さらに、第四次産業革命による経済社会構造の変化と税制に関する研究会を開催し、フリーランス、所得保障、無形資産、スタートアップ支援について専門的な議論を行った。フリーランスについては、起業家的フリーランサー、ハイスキルフリーランサー、雇用的自営の3つの類型に分類し、それぞれの課題を分析した。税制面では、給与所得控除の見直しやフリーランスへの概算控除の導入、マイナポータルを活用した申告手続の負担軽減などが検討された。セーフティネットの観点では、負の所得税の導入やドイツの芸術家支援制度を参考とした新たな社会保障システムの構築が提案された。