令和2年度産業技術調査事業(研究開発事業終了後の実用化状況等に関する追跡調査・追跡評価)報告書

掲載日: 2021年6月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局研究開発課技術評価室
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令和2年度産業技術調査事業(研究開発事業終了後の実用化状況等に関する追跡調査・追跡評価)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、経済産業省が実施した研究開発事業終了後の実用化状況等に関する追跡調査・追跡評価について書かれた報告書である。令和2年度に実施された本調査は、平成26年度、28年度、30年度に終了時評価を行った21事業に参加した118機関を対象とし、最大648サンプルのアンケート結果を整理・分析したものである。追跡調査では、研究開発成果の製品化や事業化の状況、特許等知的財産の利用状況について把握・分析を行い、今後の研究開発マネジメント向上に資する情報を得ることを目的としている。追跡評価では、「ナノ材料の安全・安心確保のための国際先導的安全性評価技術の開発事業」を選定し、事業終了後の波及効果等について専門家委員会による総合的な評価を実施した。この事業は、ナノ材料の安全性評価手法として気管内投与試験を用いた2段階評価システムの確立を目指したものであった。しかしながら、国際標準化への取り組みが不十分であり、産業界との連携も限定的で、最終的に国際的に認められた評価手法の確立には至らなかった。評価結果から、安全性や取引等のルールが確立されていない新規分野における研究開発では、産業政策と安全政策が一体となったグローバル戦略が不可欠であることが示された。また、国際標準化を目指す研究開発では、標準化機関や規制当局との早期からのコミュニケーション、必要データの事前共有、専門人材の育成が重要であることが明らかとなった。本事業の経験を踏まえ、今後は省庁の枠組みを越えた戦略的スキームの構築と、国際的な議論の場における持続的な関与が求められている。