令和2年度ものづくり中小企業事業化支援調査事業報告書

掲載日: 2021年6月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 東北経済産業局地域経済部産業技術課
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報告書概要

この報告は、令和2年度に実施されたものづくり中小企業事業化支援調査事業について書かれた報告書である。戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)を終了した東北地域の中小企業における事業化状況と、新型コロナウイルス感染拡大による影響を詳細に調査し、新しい生活様式に対応した効果的な事業化支援戦略の策定を目的として実施された。調査は5つのタスクから構成され、サポイン事業者への実態調査では158社を対象としたアンケート調査と94社へのヒアリング調査を実施した結果、直接的な成果物および派生技術ともに事業化に成功している事業者は3割程度にとどまり、累計売上が1億円以上の事業者は1割以下であることが判明した。川下産業企業への調査では、サポイン成果への一定の興味を示しながらも、技術提供が単なる下請け形態になる懸念が指摘された。オープンイノベーションに意欲的な企業事例調査では、ニーズプル型マッチングに前向きな反応が得られたものの、川下企業側もニーズ提供に関するアドバイスを求めている状況が明らかとなった。コロナ禍における販路開拓事例調査では、多くの企業が商談実施の困難を認識する一方で、ウェブベースでの商談常態化をポジティブに受け止める企業も存在することが確認された。新たな販路開拓ツールの実証事業として実施されたマッチング事業では過半数の企業で有効なマッチングが得られ、オンライン展示会出展では参加ハードルの低さや多様なマッチング機会という長所がある一方で、広く浅い連携可能性模索には適さないという短所も明らかとなった。総括として、フォローアップ調査に加えた詳細なヒアリング調査の必要性、川下企業との連携におけるオープンイノベーション実現の課題、オンラインとオフライン展示会の使い分けの重要性、顧客目線での資料作成支援の必要性が指摘され、今後の事業化支援戦略として伴奏支援の強化や海外販路開拓支援の検討が提言されている。