令和2年度国内における温室効果ガス排出削減・吸収量認証制度の実施委託費(温室効果ガス算定排出量データの活用に関する調査)委託業務報告書
報告書概要
この報告は、温室効果ガス算定・報告・公表制度(SHK制度)で収集された排出量データの活用に関する調査について書かれた報告書である。2006年4月から施行されたSHK制度により、温室効果ガスを多量に排出する特定排出者は排出量の算定と報告が義務付けられ、国がこれらの情報を集計して公表している。しかし、制度に基づく公表・開示にとどまり、データが十分に活用されていないことが課題となっている。
本調査では、SHK制度で公表・開示されている2006年度から2016年度までのデータをデータベース化し、7つの仮説を設定して分析を実施した。具体的には、特定事業所データ、特定事業所排出者データ、特定輸送事業者データを時系列で整理し、業種別削減率の分析、TCFD提言賛同企業やRE100参加企業との比較、低炭素社会実行計画参加企業との比較、インベントリとの比較、省エネ法クラス分け評価との関連分析、低炭素化係数に関する分析を行った。
データベース化においては、排出量情報修正問題、固有番号修正問題、年号変更問題などの課題に対処し、ExcelマクロによるSHKデータのデータベース化機能、時系列表示機能、フィルター機能、アウトプット機能を備えたシステムを構築した。分析結果から、TCFD、RE100、低炭素社会実行計画、省エネ法クラス分け評価制度などの取り組みが温室効果ガス削減に寄与していることが定量的に確認された。また、エネルギー消費原単位改善の取り組みが温室効果ガス低減に有効であることも示された。
今後の活用方法として、SHK制度データの経年的分析により他の関連制度との組み合わせた分析手法の有効性が示され、温室効果ガス排出についてもエネルギー消費原単位のような評価指標と評価制度の導入による削減促進の可能性が提案された。特に、業種別業態別のベンチマーク設定や、省エネルギー、エネルギー転換、電力低炭素化の3つの方策に応じた評価指標の開発により、事業者の自主的取り組み促進と気運醸成に寄与することが期待される。
