令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業費(産業競争力強化に資する知的資本の有効活用及びその獲得に向けた調査)最終報告書

掲載日: 2021年6月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局研究開発課
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令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業費(産業競争力強化に資する知的資本の有効活用及びその獲得に向けた調査)最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、産業競争力強化に資する知的資本の有効活用及びその獲得に向けた検討を推進するための調査について書かれた報告書である。

我が国は少子高齢化が進展する中で、産業競争力の強化、ゼロエミッション、災害・感染症対策等の課題に対応する必要があり、これらの解決のために継続的なイノベーション創出が期待されている。近年、イノベーションメカニズムは劇的に変化し、特に米国や中国を中心として知的資本によって市場競争における価値を創造する「知的資本主義経済」への移行が進んでいる。この知的資本主義経済の主要対象となるITやバイオ等の分野は、今後グローバルに産業規模が拡大すると見られており、我が国においてもこれらの分野における研究開発を早急に進め、グローバル市場での競争優位を確立する必要がある。

知的資本主義経済を制するためには、知的資本の中でも特に中心的役割を果たす「人材」の集約が不可欠であるが、優秀な人材は米国や中国に集まる傾向があり、今後これらの国においてイノベーションが加速していくことが想定される。また、経済安全保障上の米中対立も加速しており、人や技術がこれまでとは異なる形で流出入する可能性があることから、今後の技術開発に大きな影響を及ぼすものと考えられる。

本調査では、産業技術ビジョン2020での重点技術分野を起点とし、特に日本が強みを有するとされるデバイス・マテリアル領域にフォーカスして分析を実施した。具体的にはAI、デバイス、バイオ、マテリアル、環境エネルギーの分野について、マシーンラーニング、AIチップ、遺伝子治療・遺伝子編集、マテリアルインフォマティクス、リチウムイオン電池等の技術領域における知的資本の集積状況を調査した。調査結果として、超伝導、量子コンピュータ、スピントロニクス、光触媒、プロトン伝導、リチウムイオン電池等の物理学・化学・工学分野において、日本が一定の研究力を有していることが確認された。