令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(諸外国における再生可能エネルギー政策等に係る日本への適用可能性に係る調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、諸外国における再生可能エネルギー政策等に係る日本への適用可能性について調査した報告書である。
資源エネルギー庁から委託を受け、東京海上日動リスクコンサルティング株式会社が実施した調査であり、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた制度改革に関する分析を行っている。報告書は第Ⅰ部と第Ⅱ部で構成されており、第Ⅰ部では欧州主要国におけるFIP(Feed-in Premium)制度を中心とした再生可能エネルギー政策動向を調査し、第Ⅱ部では日本への適用可能性について定量分析を実施している。
日本においてFIT制度導入以来、再生可能エネルギーの導入量は大幅に拡大したが、同時に国民負担の増大、安全面・防災面・景観や環境への影響、地域の懸念、系統制約といった課題が顕在化している。これらの課題を受け、総合資源エネルギー調査会では再生可能エネルギーを競争電源と地域活用電源に分類し、競争電源については電力市場への統合を図るFIP制度の導入検討が適当であるとの見解を示している。
第Ⅰ部では、ドイツ、スペイン、英国、フランス、イタリアを中心とした欧州主要国のFIP制度の詳細設計や制度変遷の政策的背景、電力市場環境の動向、再生可能エネルギーの導入状況、国民負担の推移等について調査分析を実施している。また、FIT制度からFIP制度への移行トリガー、義務しきい値の考え方、参照市場価格の算定方法、管理プレミアムの設定、オフテイカーリスク対策等の運用上の論点についても整理している。さらに、各国の2030年・2050年再生可能エネルギー導入目標、未稼働対策、COVID-19の影響等についても分析を行っている。
第Ⅱ部では、日本におけるFIP制度の適切な導入・実施に向け、4段階のステップによる定量分析を実施している。検討対象を設定した上で、短期のプレミアム・収入試算を行い、日本において適用が現実的と考えられる制度パターンについて検討を実施した。その後、中長期の事業環境シナリオを作成し、当該シナリオに基づいてプレミアム・収入試算を行い、短期試算と同様の結果が中長期においても維持されることを確認している。
