令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(日印産業競争力パートナーシップを活用した比較分析調査)最終報告書

掲載日: 2021年6月11日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局アジア大洋州課南西アジア室
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令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(日印産業競争力パートナーシップを活用した比較分析調査)最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、日印産業競争力パートナーシップを活用した経済成長戦略について書かれた報告書である。令和2年度に野村総研インドが実施した調査により、インドの貿易実態と産業競争力の現状分析を行っている。インドは2025年に世界最大の人口を抱える国となる見込みであり、高い成長率を維持しているものの、製造業部門の弱さという根本的な課題を抱えている。

マクロ経済分析では、消費は堅調であるが民間投資の停滞、政府の財政出動余地の限定性が指摘されている。貿易面では商品貿易で大幅な赤字を計上しており、ITサービスの黒字でも補完できない状況である。GDP に占める製造業の割合は中国と比較して大幅に低く、多くの品目を輸入に依存している構造的問題がある。

産業別分析では、膨大な若年人口に対する新規雇用創出の不足、質の高い雇用の割合の低さ、農業セクターの生産性の低さ、製造業における雇用創出力の欠如といった全般的な弱みが明らかになっている。インフラ面では、道路、鉄道、港湾のハードインフラに課題があり、事業許認可や紛争処理などソフトインフラにも改善の余地がある。

重点セクターとして電子・電機、自動車・自動車部品、医療機器、産業機械の4分野を詳細に分析し、各セクターの産業構造と成熟度を評価している。提言として段階的な産業高度化プロセスを提示しており、第1段階では製品輸出の促進、第2段階ではコア部品の現地生産、第3段階では高度な製造設備の開発という発展経路を示している。日印両国がWin-Winの関係を構築するためには、インドの製造業強化と輸出ハブ化の実現が不可欠であると結論付けている。