令和2年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(技術メカニズムに関する調査事業) 調査報告書
報告書概要
この報告は、気候変動技術メカニズムに関する2020年の活動について書かれた報告書である。
2020年は気候変動国際交渉30周年を迎えたが、COVID-19パンデミックの影響により予定されていたCOPやSBが翌年に延期され、交渉は停滞を余儀なくされた。技術執行委員会(TEC)や気候技術センター・ネットワーク(CTCN)の会合もオンライン開催となったが、年後半には制約下で活動を再開し、計画に沿った作業が進められた。
第15回CTCN諮問委員会では、2019年に69件の技術支援申請があり、地域別アプローチを初めて採用したことが報告された。デンマーク政府から440万USドルの新規資金提供表明があり、GEFやGCFとの連携も強化された。技術支援実施における二段階入札プロセスの導入により、効率的な対応が可能となった。資金面では年間予算約1千万ドルで推移しているが、恒常的に1〜2年先までの財源確保という課題が続いている。
第16回では、適応基金との連携強化やGCFレディネスプログラムを通じた資金動員が進展した。農業、交通、現地固有技術等の重要分野への対応についても議論され、ネットワークメンバーの積極的参画が促された。第20回・第21回TECでは、技術普及のインセンティブ構造や評価手法の検討が進められ、政策、資金、キャパシティビルディングの重要性が確認された。
資金構造については、2015年時点で先進国からの拠出金への依存度が94%であったが、2020年には79%に減少し、GCFやGEF等の資金メカニズムからの拠出が19%に拡大した。日本は単独国として最多の1200万ドルを拠出し、EUが全体で最大の1400万ドルを貢献している。技術メカニズムと資金メカニズムのリンケージ強化により、持続可能な資金基盤の構築が進んでいる。
