令和2年度中小企業実態調査事業 約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会報告書
報告書概要
この報告は、約束手形をはじめとする支払条件の改善について書かれた報告書である。平成28年9月に公表された「未来志向型の取引慣行に向けて」において「支払条件の改善」が重点課題として掲げられ、手形通達の改正や下請中小企業振興法の改正、業種別の自主行動計画の策定などの取り組みが進められた。約束手形は明治時代以降に法整備・制度整備が進められ、特に高度成長期においては企業の資金需要が旺盛で銀行融資の代替手段として企業間信用が大きな役割を果たした。しかし約束手形を用いた取引には、取引先に資金繰りの負担を求める長い支払サイト、取引先が利息・割引料を負担する取引慣行、紙を取り扱う事務負担・リスク負担といった問題点が存在する。受取人の9割、振出人の7割超が約束手形の利用を「やめたい」との意向を示している。約束手形の利用を廃止していくにあたっては、業界全体やサプライチェーン全体での取り組みの必要性、代替手段である電子的手段の利便性向上、資金繰りの確保、支払サイトの短縮化などの課題がある。ファクタリングについても利用状況や課題について検討されている。金融界に対しては決済関連手数料の見直し、電子的決済サービスの普及促進策、資金繰り支援、使いやすいファクタリングサービスの提供が求められている。報告書は三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社により令和3年2月に作成された。
