令和2年度遠隔健康相談事業体制強化事業(メンタルヘルス専門窓口)事業報告書「こころの安心相談」実績成果分析
報告書概要
この報告は、令和2年度に実施された遠隔健康相談事業「こころの安心相談」について書かれた報告書である。株式会社セーフティネットが2020年5月から8月にかけて実施したメンタルヘルス専門窓口の実績成果を分析したものである。
入電時間帯については、開始当初は日中の相談が多かったが、次第に夜間・深夜帯の入電が増加する傾向を示した。これは緊急事態宣言下の在宅勤務や行動自粛から、宣言解除に伴う勤務・生活形態の変化が影響したものと考えられる。有職者は夕方から夜間の相談が多く、無職者は終日を通して相談があり、深夜から早朝の相談では就労・生活の悩みや精神疾患に伴う睡眠障害の方が多く見られた。
コロナとの関連性については、5月の45.2%から8月の15.6%へと減少傾向にあり、コロナ感染の推移との相関関係は認められなかった。これは感染への不安の軽減や支援制度の普及により、過剰な感染不安や経済的不安が一部解消されたことが要因として挙げられる。
地域別では東京都からの入電が最も多く、埼玉県、神奈川県、千葉県、大阪府が続き、都道府県の人口比率とほぼ同様の傾向を示した。年齢別では40代が最も多く、全年代にわたり女性の入電が7割前後を占めている。生産年齢である20~50代の入電割合が高く、就労、生活、家族等の広範多岐にわたる不安や悩みが増加していることが確認された。
相談内容については、健康(精神)、生活、家族に関する相談が多く、男性は生活、就労、家族・対人関係の順で多いのに対し、女性は家族が圧倒的に多く、次いで生活、対人関係の順であった。相談対応の8割がメンタルに関わる相談であり、必要に応じて関係機関への情報提供も実施している。