令和2年度化学物質安全対策(化学物質の分解性及び蓄積性に係る総合的評価の導入に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省による化学物質安全対策として化学物質の分解性及び蓄積性に係る総合的評価の導入に関する調査について書かれた報告書である。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)における新規化学物質の事前審査では、分解性、蓄積性及び毒性に関する評価が必要であるが、現行の法定試験法のみでは実環境中での化学物質の挙動を十分にカバーできないという課題がある。そこで本調査では、様々な利用可能なデータを活用して総合的に評価するウェイトオブエビデンス(WoE)の導入に向けた検討を実施した。具体的には、化審法における分解性・蓄積性評価の目的や評価範囲の明確化、多様な評価事例の整理、様々なレベルのデータに対応する判定基準のあり方の検討を行った。また、より科学的妥当性のある評価を目的とした試験法の検討として、分解度試験における試験濃度の設定や難水溶性物質の蓄積性評価試験法について検討を行った。さらに、人工知能(AI)を活用した分解性予測手法の開発についても検討し、予測精度の向上と推算根拠の明示に関する検討を実施した。これらの検討に当たっては、化審法新規化学物質の審査経験を有する専門家等9名への2回の意見聴取を実施し、検討内容に反映させた。本調査により、化審法における分解性と蓄積性の評価に対するWoE等の導入可能性、評価フロー及び判定基準の検討が行われ、実環境での挙動を反映した評価の精緻化への道筋が示された。
