令和2年度補正遠隔健康相談事業体制強化事業(医療・ヘルスケアにおけるデジタル活用等に関する現状及び調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染症を契機とした医療・ヘルスケア分野におけるデジタル技術活用の現状と今後の方策について書かれた報告書である。
新型コロナウイルス感染症の影響により、遠隔健康相談やオンライン診療等の遠隔医療サービスが急速に普及し、医療・ヘルスケアの場が病院から在宅・地域へと拡大した。感染症対策や予防意識の高まりとともに、セルフメディケーションなど公的保険外サービスの需要も増加している。
調査では、オンライン診療や遠隔健康相談におけるウェアラブルデバイス・アプリの活用事例を国内外で収集し、医師123人へのアンケートを通じて現状の活用状況やニーズ・課題を把握した。ヘルスケアサービスは、データ取得デバイス、疾病ごとのソリューション提供サービス・アプリ、個人データ集約プラットフォームに類型され、予防から予後・モニタリングまでのペイシェントジャーニー全体をサポートする位置づけとなっている。
具体的事例として、Apple WatchのFDA認可を受けた心電図アプリによる心房細動検出、韓国WELTのスマートベルト型デバイスによる慢性疾患管理、オムロンヘルスケアのウェアラブル血圧計等が紹介されている。これらのデバイスは日常生活でのバイタルデータ・生活データ取得を可能とし、診療時の活用や個人の健康管理支援に役立っている。
今後のヘルスケア産業政策の方向性として、デジタル技術を活用したtoCアプローチの強化、認知症などに対応する共生社会の構築、精神疾患・がん患者等の早期職場復帰支援などが重要課題として提示されている。特に健康無関心層を含む個人の健康意識向上と、企業における従業員の健康管理強化が求められる。
政府の関連政策との連携により省庁を超えた実効性の高い施策実現が可能となり、データヘルス改革や健康・医療戦略等の既存政策との整合性を図りつつ、新たなヘルスケアサービス振興を推進することが提言されている。
