令和2年度規制改革推進のための国際連携事業(インドデジタル公共財の第三国展開に係る我が国企業参入支援に関する調査)報告書

掲載日: 2021年6月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局総務課国際室
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令和2年度規制改革推進のための国際連携事業(インドデジタル公共財の第三国展開に係る我が国企業参入支援に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、インドのデジタル公共財であるIndia Stackの第三国展開における日印連携の可能性について調査した報告書である。

India Stackは、インド政府が推進するオープンAPIの集積体であり、個人識別番号Aadhaarを活用した本人認証、電子署名、電子決済等を提供するデジタル国民IDプラットフォームとして位置づけられている。このシステムは、非対面レイヤー、ペーパーレス・レイヤー、キャッシュレス・レイヤー、同意レイヤーという4つのレイヤーから構成され、貧困層の金融包摂や適切な補助金給付という社会課題の解決を目的として開発された公共財である。

India Stackの普及により、インドでは成人の金融口座保有率が2011年から2017年にかけて倍増し80%に達した。Aadhaarを活用した新規口座開設数は3.4億件、本人確認は過去3年間で1.5億回に及び、直接給付金の受給者数は4.16億人に至っている。特に新型コロナウイルス感染拡大下では、2億人に対して2時間で給付金の送金・受取を完了させることができた。

オープンソースのデジタルIDプラットフォームMOSIPは、India Stackと類似のコンセプトに基づいて開発され、新興国における国民IDシステムの普及と行政・民間サービスの向上を目的としている。日本とインドは2018年の日印スタートアップ・イニシアティブや日印デジタル・パートナーシップの覚書署名を通じてデジタル分野での連携を深めており、インドのデジタル公共財をアフリカ等の第三国に展開するための日印共同プロジェクトについて両国で合意している。

本事業では、デジタルIDプラットフォームの日印第三国連携に関するウェビナーとインドオンラインミッションを開催し、MOSIPに対する日本企業の理解を深めるとともに、日印企業の連携に対するニーズと課題を明らかにすることで、日印協力プロジェクトの検討推進の一助とすることを目的としている。