令和2年度規制改革推進のための国際連携事業(AIの利活用及び開発に影響を与える政策ツールに関する動向調査)最終報告書

掲載日: 2021年6月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局総務課国際室
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令和2年度規制改革推進のための国際連携事業(AIの利活用及び開発に影響を与える政策ツールに関する動向調査)最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、GPAI(Global Partnership on AI)関連調査について書かれた報告書である。経済産業省が令和2年度規制改革推進のための国際連携事業として実施したもので、AIの利活用及び開発に影響を与える政策ツールに関する動向調査を目的としている。背景として、各国政府や国際機関がAI原則から具体的な制度や規律の策定にシフトしており、これらの政策ツールが日本企業に影響を与える可能性があることから、国際競争力を損なわないためのAI政策ツールにかかる国際的な議論を牽引する必要があることが挙げられている。

実施内容は三つの柱から構成されている。第一に、GPAIのオンライン会合に専門家を派遣し、責任あるAI、データガバナンス、仕事の未来、イノベーションと商業化の4つのワーキンググループとAIとパンデミック対応サブグループの議論動向を収集した。第二に、日本、米国、EU、ドイツ、フランス、英国、シンガポール、カナダ、中国、韓国、OECD、ISO/IEC、IEEE等を対象として、AIにかかる政策ツールの検討状況を文献・WEB調査により実施した。第三に、国内専門家14名との意見交換を目的とした国内委員会を5回開催し、GPAIの特徴や課題、方向性を整理した。

調査結果として、2020年12月の第1回年次会合では各ワーキンググループの初年度成果が報告され、関連イニシアティブ分析、COVID-19に関するAIツール分析、データガバナンスフレームワーク構築、職場でのAIユースケース分析、商業化課題分析が行われた。また、米国、中国、ドイツ、シンガポール、EUのAIシステムのパフォーマンス・安全性に関連する政策ツールや自動運転分野、顔認識、自動雇用意思決定ツール等13本の政策ツールを調査した。GPAIの特徴としてリアルユースケース中心のアプローチと専門家中心で検討テーマの自由度が高いことが確認された。一方、課題としてボランティア参加を前提とする専門家の責任範囲の不明確さと日本からのGPAI議論への貢献不足が指摘された。今後の方向性として、GPAI議論動向の継続的な把握、当該動向の周知、日本の優れたリアルユースケースのGPAI議論への反映が提言されている。