令和2年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(我が国におけるCCS事業化に向けた制度設計や事業環境整備に関する調査事業)調査報告書

掲載日: 2021年6月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局環境政策課地球環境対策室
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報告書概要

この報告は、日本におけるCCS(二酸化炭素分離回収・貯留)事業化に向けた制度設計や事業環境整備について調査分析した報告書である。2050年カーボンニュートラル達成に向けて、CCSは脱炭素化電源やCO2フリー水素製造、負の排出技術として重要な役割を果たすことが期待されているが、収益メカニズムの未構築や地下の不確実性による事業リスクなど、導入に向けた課題が存在している。海外CCSプロジェクト事例の調査から、CCS導入障壁として政策の不透明性、法制度、将来的な事業収益、資金調達、社会受容性、貯留性能の6つの不確実性要因が特定された。現在操業中の世界26件の商用CCSプロジェクトは、これらの不確実性が相対的に低い条件下で実施されており、EORによる収益確保と追加投資コストの低い組合せから導入が進んでいることが明らかとなった。米国・英国のCCUS関連政策調査では、米国がエネルギー・安全保障政策に立脚し、英国が経済成長・雇用確保と温暖化目標達成を念頭に置いた政策展開を行っていることが確認された。CCS導入に必要な枠組みとして、CCS事業の見通し、CCSの意義・許認可、CCS事業の前提の3つが抽出され、それぞれに関する事業環境整備案が整理された。経済波及効果分析では、CO2回収量約338万トン規模のCCS導入時のGDP誘発係数が約1.03と推計される一方、電気代上昇による家計負担増分は年間387~681円程度とされた。本調査は学識経験者・産業界・関係機関からの有識者12名による検討会を計6回開催し、CCS事業化に向けた制度設計と事業環境整備のあり方について議論を重ねた結果をまとめたものである。