令和2年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(電気設備技術基準国際化調査) 報告書

掲載日: 2021年6月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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報告書概要

この報告は、電気設備技術基準の国際化に関する調査について書かれた報告書である。経済産業省からの依頼により、一般社団法人日本電気協会が中心となって設立された「電気設備技術基準国際化委員会」が実施した令和2年度の調査研究成果をまとめたものである。

日本では電気事業法に基づく「電気設備に関する技術基準を定める省令」と「電気設備の技術基準の解釈」により電気設備の安全基準が定められているが、WTO/TBT協定により国際規格との整合化が求められている。このため、IEC(国際電気標準会議)規格を電気設備技術基準の解釈に取り入れる作業が継続的に行われている。

今年度の主な検討内容は、第一にIEC60364規格群の制改定への対応である。低圧電気設備に関するこの規格群は既に電技解釈第218条として取り入れられているが、その後の改定に対応するため、IEC60364-7-701およびIEC60364-7-706の電技解釈への取り入れ可否を検討し、適用時の課題や制限事項を整理した。また、これらの規格で使用される専門用語の抽出と解説も実施している。

第二の検討内容は、IEC62933-5-2の取り入れに関する課題整理である。この規格は電気エネルギー貯蔵システム、特に蓄電池システム(BESS)の安全要求事項を定めたものである。近年、蓄電池システムの普及拡大に伴い国内外で火災事故が多発しており、その安全対策が急務となっている。調査では蓄電池の導入状況、事故事例を分析し、電技解釈への取り入れに向けた課題を整理した。

蓄電池システムは電気的に切り離されても内在するエネルギーにより火災等のリスクを持つという固有の性質があり、従来の電路遮断対策だけでは安全を担保できないことが明らかになっている。IEC62933-5-2は重要な安全情報を提供するが、具体的な仕様規定の記載が限定的であるため、電技解釈への直接的な導入は困難との結論に至った。