令和2年度補正遠隔健康相談事業体制強化事業 遠隔健康医療相談等の市場調査およびガイドラインの作成等に関する提言に係る事業調査報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染症対策として実施された遠隔健康医療相談事業について書かれた報告書である。経済産業省が令和2年度補正予算で実施した事業において、遠隔健康医療相談サービスの市場調査とガイドライン作成に関する提言を目的として、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が調査を行った結果をまとめている。
調査では、国内外の遠隔健康医療相談および遠隔診療等を実施する事業者に対するヒアリング調査、アンケート調査、文献調査を実施し、サービス提供の実態把握を行った。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、医療機関への不急のアクセスを回避する動きが見られ、遠隔健康医療相談の相談件数や市場参入事業者が増加している現状が明らかになった。特に夜間の利用、女性や比較的若い世代における活用など、通常の対面医療でカバーしがたい層からのニーズが確認された。
海外調査では、米国、カナダ、英国、中国、韓国等における遠隔健康医療相談サービスの規制状況を調査し、各国・地域でオンライン診療制度が整いつつある一方、遠隔健康医療相談については韓国や欧州等に限定して規制が確認された。国内同様、医師への健康相談と保険適応の診療はサービスが分けられているケースが多いことが判明した。
ガイドライン検討においては、業界の健全な事業環境確保のため、相談対応者の資格確認、適正な表示方法、情報の取扱い、サービスの信頼性確保等について検討項目を整理した。質の確保に向けた取組として、相談対応者の公開情報、採用方法、教育、モニタリング・評価等が実施されているが、実施方法は事業者によって異なることが明らかになった。今後は最低限の質確保のための取組を定めた上で、各事業者が差異化を図ることで業界の適切な発展と競争環境の維持が可能になると結論付けている。
