令和2年度規制改革推進のための国際連携事業(オープンソースベースのデジタルIDプラットフォームの展開可能性に関する調査) MOSIP解説書(タテ型ver.)

掲載日: 2021年6月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局総務課国際室
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報告書概要

この報告は、インドのデジタルIDプログラムをベースに開発されたMOSIP(Modular Open Source Identity Platform)について書かれた報告書である。MOSIPはインド国内のIndia Stackの成功ノウハウを海外展開するためにコアテクノロジーをオープンソース化したプラットフォームであり、個人のID情報をデジタル化し公共財として流通させることで、キャッシュレス決済や通信サービス、助成金移転、租税などの公共性の高いサービスを国民全体に浸透させることを目的としている。

MOSIPの設計思想は三つの柱で構成されている。第一に「デジタル・アイデンティティ・ファースト」では、生体認証による簡便なID管理を通じて従来の運転免許等の権利に紐づくIDとは独立したデジタルIDシステムを構築し、より裾野の広い市民層を取り込むことを目指している。第二に「ボランタリ・インクルージョン」では、貧困層や少数部族、主婦層などを含む広範囲な層のID登録を強制ではなく市場原理に基づいて促進し、ネットワーク効果による加速を図っている。第三に「オープン・イノベーション」では、システム開発、生体認証デバイス、セキュリティ管理、法制度等の各分野に強みを持つ複数プレイヤーによる協同運営を前提としている。

技術的アーキテクチャは、アプリケーションレイヤー、カーネル・データレイヤー、インテグレーションレイヤーの三層構造となっており、モジュラー設計によって各国の事情に応じたカスタマイゼーションを可能としている。生体認証技術やプライバシー・セキュリティ機能が重要な構成要素となっており、ABISやバイオメトリクスSDKなどの技術仕様が詳細に定義されている。MOSIPの導入により、各国は自国に適したデジタルIDシステムを構築し、それを基盤とした様々なデジタルサービスの展開が可能となる。