令和2年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(メキシコ合衆国・カンクン都市交通マスタープラン検討及びAGT導入計画調査事業)成果報告書(英語版)

掲載日: 2021年6月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室
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報告書概要

この報告は、メキシコ・カンクンにおけるAGT(自動案内軌道システム)導入の実現可能性について書かれた報告書である。本調査は2021年3月に日本交通技術株式会社によって実施され、経済産業省の委託を受けて作成された。

カンクンでは総延長約47キロメートル、40駅からなるAGTシステムの建設計画が検討されており、これはマヤ鉄道との接続を前提とした都市交通ネットワークの構築を目的としている。計画は2段階に分かれ、第1段階では空港からホテルゾーンまでの33キロメートルの高架路線、第2段階では都市部の14キロメートルの地上専用軌道の建設が予定されている。

需要予測では1日あたり66,800人の利用が見込まれており、PPP方式による契約総額は16億4,500万ドルと推定されている。環境社会配慮については、ニチュプテ・マングローブ自然保護区を通過するものの、現道脇への敷設により マングローブの伐採は回避される見通しである。一方で、車両基地建設予定地での樹木伐採や街路樹の移植が必要となる。

財務分析の結果、単独事業体による運営では採算性が確保できないため、PPP方式による官民リスク分担が不可欠である。公的資金による土木工事の実施と民間による車両・システム整備の分担、さらに可用性支払い方式の導入により民間事業者のリスク軽減が提案されている。

日本企業の参画可能性については、AGT技術の優位性により車両・システム分野での参画が有望視されている。一方、土木分野では部分的な参画にとどまる見通しである。本プロジェクトは日本のAGT技術の中南米展開における重要なショーケースとしての効果が期待されている。