令和2年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(メキシコ合衆国・カンクン都市交通マスタープラン検討及びAGT導入計画調査事業)成果報告書(スペイン語版)
報告書概要
この報告は、メキシコ合衆国カンクンにおける都市交通マスタープランおよびAGT(新交通システム)実装計画について書かれた報告書である。日本の経済産業省による調査として実施され、カンクンの社会経済動向と交通セクターの分析から始まり、具体的な交通システム導入計画まで幅広く検討されている。
プロジェクトの概要として、総延長47キロメートルの軽量都市交通システムの建設が計画されており、建設費用は16億4500万ドルと見積もられている。第1段階では観光地区(ククルカン大通り)からカンクン国際空港までの33キロメートルの高架路線、第2段階では市街地のトゥルム通りと大学通りを地上レベルで走行する路線が含まれる。システム全体で29駅と2つのターミナルが計画され、1日あたり66,800人の乗客利用が予測されている。
環境社会配慮の観点では、ニチュプテ・マングローブの自然保護区域を通過するものの、現在の道路に隣接した土地での建設により、マングローブの伐採は回避される計画である。車両基地予定地では森林伐採が必要となるが、住民の非自発的移住は想定されていない。高架区間では道路中央分離帯の樹木伐採や公園・記念碑の移設可能性がある。
プロジェクトの実現可能性については、日本企業の参加可能性が高く評価されている。特にAGTシステムは日本企業の競争力が高い製品であり、メキシコが新興国ではないことから高付加価値製品の価値が認められる可能性がある。運営保守分野でも日本の鉄道関連企業の参加可能性があるとされている。
財務分析の結果、プロジェクト単体での収益性確保は困難であるが、官民パートナーシップ方式の導入により収益性確保が可能とされている。実施スキームとしては、上下分離方式を採用し、相当な公的資金の投入が必要である。民間セクターのリスク軽減のため、アベイラビリティ・ペイメント方式の採用も検討されている。プロジェクト実現のための今後の詳細検討として、コスト削減可能性、開発による非鉄道収入の活用、観光客増加効果、官民資金活用方法などが挙げられている。
