令和2年度産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費)(近年の競争環境・競争政策等の動向に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、近年の競争環境・競争政策等の動向に関する調査について書かれた報告書である。デジタルエコノミーの進展、気候変動、人口動態変化、産業政策強化、保護主義台頭等により国際情勢が変化する中、市場の競争環境も大きく変わりつつあり、従来の競争法では対応できない場合も生じている。このため各国の競争政策にも変化が生じる可能性があることから、諸外国における競争政策や事例等を事前に調査・整理することが重要となっている。本調査では、欧州(主にEU)、米国、APAC(主に中国)を対象として、サステナビリティと競争政策、デジタルカルテルと競争政策、パーソナライズド・プライシングと競争政策、コネクテッドカーと競争政策、標準必須特許と競争政策という5つの論点について政策動向調査を実施した。森・濱田松本法律事務所及び柳田国際法律事務所の協力を得て、諸外国の近年の競争政策動向を収集し、今後の競争環境整備に向けた比較分析を行った。また、国内外の法学関係者による有識者ヒアリングも実施し、政策背景への理解や考察を深め、我が国の今後の競争政策及び企業活動への示唆を多く得ることができた。各論点では、OECDや各国競争当局の政策文書、判例、事案等を詳細に分析し、デジタル技術の発展に伴う新たな競争上の課題や、持続可能性目標と競争政策の両立、標準必須特許のライセンス問題等について包括的な検討が行われている。
