令和2年度地球温暖化対策における国際機関等連携事業(ミッション・イノベーションを通じた国際連携に関する取組等調査)最終報告書(公表用)
報告書概要
この報告は、ミッション・イノベーションを通じた国際連携によるクリーンエネルギー技術の研究開発動向について書かれた報告書である。パリ協定の2℃目標達成に向け、世界各国が参加するミッション・イノベーション枠組みにおいて、日本の技術的優位性と国際競争力を分析している。
調査対象は4つの重要技術分野であり、柔軟・軽量・高効率な太陽光発電技術では、シリコン系太陽電池の効率限界を超えるペロブスカイト太陽電池や量子ドット技術による高効率化と、建築物壁面や移動体への応用による機能性向上が重要となっている。ゼロカーボン・スチール技術では、水素還元製鉄を中核としつつ、コスト効率の観点からフェロコークス等の既存技術改良とCCUSとの組み合わせによる段階的な脱炭素化アプローチが提案されている。
デジタル技術を用いた電力ネットワーク分野では、再生可能エネルギー大量導入時の系統安定化に向け、家庭用機器のデマンドレスポンスや電気自動車の需給調整活用による調整力創出と、水素・アンモニア発電による慣性力補完が技術開発の焦点となっている。大気中CO2直接回収技術では、化石燃料由来でないグリーンCO2の長期的需要を見据えた技術開発の必要性が指摘されている。
各分野における国際比較分析では、日本の研究機関と海外主要機関の技術動向を詳細に調査し、研究開発レベルでの競争力評価を実施している。提言では、各技術分野において産業間連携による実証実験の推進、建築・自動車メーカーとの協力体制構築、規制整備との両輪による社会実装促進が重要であるとしている。
