令和2年度鉱物資源開発の推進のための探査等事業(鉱物資源基盤整備調査事業(鉱物資源確保戦略策定に係る基礎調査))最終報告書
報告書概要
この報告は、日本の鉱物資源確保戦略策定に係る基礎調査について書かれた報告書である。デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が経済産業省から委託を受け、2021年3月に作成したものである。
脱石油・省エネルギー社会の指向や地球温暖化対策を背景に、次世代自動車や IoT、5G などの次世代通信インフラの普及に伴い、リチウムイオン電池や電動モーター、高機能製品に必要不可欠な鉱物資源の需要増加が見込まれている。これらのレアメタルは産業競争力の維持だけでなく、安全保障上もその調達リスクを軽減することが必要であり、我が国はその大宗を輸入に依存しているため、今後の需要増加に伴い供給リスクの顕在化が予想される。
本調査では、我が国の主要産業にとって重要度が高く、今後の大幅な需要増加が見込まれ、安全保障上も重要である鉱物資源について、日米欧が共通して重要鉱種に位置付けている鉱種に加え、5G、EV、再生可能エネルギーの革新的技術により将来的な需要増加が見込まれる鉱種を特定し、13鉱種を調査対象として選定した。具体的にはグラファイト、マグネシウム、バナジウム、コバルト、フッ素、ガリウム、白金族金属、インジウム、アンチモン、タンタル、タングステン、レアアース、リンが含まれる。
調査では鉱種毎の需要と供給の市場動向、欧米日における鉱物資源政策の比較分析を行い、6つの指標から各バリューチェーンのクリティカリティを評価し、各種政策の効果を可視化するツールを構築した。その結果に基づき、我が国における安定供給の確保に向けた鉱種ごとの政策パッケージを提示している。
