令和2年度ものづくり中小・中堅企業の生産性向上(DX実現)に向けたSIer企業参入促進のための競争環境整備調査に係る役務請負調査報告書

掲載日: 2021年7月2日
委託元: 経済産業省
担当課室: 九州経済産業局地域経済部情報政策課
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令和2年度ものづくり中小・中堅企業の生産性向上(DX実現)に向けたSIer企業参入促進のための競争環境整備調査に係る役務請負調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、九州地域のものづくり中小・中堅企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現に向けたシステムインテグレーター(SIer)企業の参入促進に関する競争環境整備について書かれた報告書である。

わが国では近年、IoT機器や人工知能、クラウド、ビッグデータなどのデジタル技術が安価に入手可能となり、企業の情報収集や経営判断における競争力が重要性を増している。少子高齢化による人手不足や事業承継の課題に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大が企業の事業環境を大きく変化させており、デジタル改革は待ったなしの状況となっている。製造業における従業員1人当たり付加価値額の推移を分析すると、大企業は2012年度から増加に転じたが、中小企業は概ね400~500万円台と大企業の半分以下で推移している。ソフトウェア投資の推移は付加価値額の推移と類似しており、ソフトウェア投資の多寡が製造業の生産性の違いをもたらしている可能性が読み取れる。

わが国の製造業に関するDX市場は2019年度で971億円となっており、このうち380億円がスマートファクトリー関連、320億円がサービタイゼーション関連である。2030年度には4,500億円に達すると見込まれており、今後の成長が期待されている。九州地域においても大企業や一部の中小・中堅企業では、経営戦略と紐付いたDXに取り組むことにより生産性向上や企業の付加価値向上を実現させている事例が創出されているが、多くの中小・中堅企業がDXに取り組めていない状況である。

本調査では製造業を対象に、これからDXに取り組もうとする中小・中堅ものづくり企業とDXをサポートするベンダー・SIer双方の実態と課題を把握し、両者の連携をスムーズにする対応策を探ることを目的としている。調査の結果、ものづくり企業とベンダー・SIer間の課題として、DXによるビジネス変革のビジョンや経営戦略の不足、既存SIerからのサービス乗り換えの困難さ、技術的な制約やノウハウ不足などが明らかになった。