令和2年度消費税の転嫁状況に関するモニタリング事業最終報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度における消費税の転嫁状況について書かれた報告書である。東京商工リサーチが実施した書面郵送調査により、令和2年7月から令和3年2月まで4回にわたって、各月4万事業者を対象に消費税率10%への引上げ後の価格転嫁状況をモニタリングした結果をまとめている。事業者間取引(BtoB取引)においては、「全て転嫁できている」と回答した事業者が年間を通して90%前後で推移し、年間平均89.8%、最高90.5%、最低88.4%となった。転嫁できた主な理由として、以前より消費税転嫁への理解が定着していることや、消費税転嫁対策特別措置法により転嫁拒否行為が禁止されていることが挙げられている。一方、転嫁できていない理由については、競争が激しく他社に取引を奪われるおそれがあることや、取引先の業界の景気悪化により値上げを受け入れる余裕がないことが主要因として挙げられた。消費者向け取引(BtoC取引)では、「全て転嫁できている」事業者の割合は事業者間取引より低く、令和2年7月調査で81.0%、令和3年2月調査で82.0%となっている。調査では従業員規模別、業種7分類別の分析も行われ、規模や業種による転嫁状況の違いも明らかにされた。また、消費税率10%引上げ後の業績への影響についても時系列で追跡調査が実施されている。
