令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(安全技術普及事業(事故発生原因分析等調査))事業報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度に経済産業省委託事業として実施されたLPガス及び都市ガスの保安対策に関する調査研究について書かれた報告書である。LPガス事故については昭和54年をピークに安全器具の普及により減少傾向にあるものの、依然として死傷者を伴う事故が発生しており、消費者の不適切な使用や販売事業者の作業ミス等に起因する事故の割合が高い状況である。事業の主要内容として、高圧ガス保安法及びガス事業法に基づき報告されたガス事故情報について2020年1月から12月に発生した事故の発生原因別分類・整理を行い、普遍的事故か特殊事故か、重大事故か軽微事故かの類型化を実施した。LPガス事故調査では、特に重大事故に発展する可能性のリスク分析を行い、予防的対応を含めた事故防止対策の検討を実施している。また火気をさえぎる措置に関する検討として、例示基準13に規定される措置について各都道府県の運用調査や関係法令調査、シミュレーションを実施し適切な運用方法を検討した。数値計算による漏えいシミュレーションでは、風洞実験結果との比較検証を行い、濃度分布や速度分布の精度向上を図っている。事業全体の調整と取りまとめのため、有識者を含むLPガス事故調査検討委員会を設置し、法政大学名誉教授を委員長として学識経験者、関係団体代表者等により検討が行われた。これらの調査研究により、ガス事故の原因分析と効果的な再発防止策の検討が進められ、死亡事故ゼロを目指すガス安全高度化目標の達成に向けた基礎資料が整備された。