令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(循環経済ビジョンの具体化に向けたサーキュラーエコノミーをめぐるファイナンスのあり方に関する検討事業)調査報告書

掲載日: 2021年7月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局資源循環経済課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(循環経済ビジョンの具体化に向けたサーキュラーエコノミーをめぐるファイナンスのあり方に関する検討事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、循環経済ビジョンの具体化に向けたサーキュラーエコノミーをめぐるファイナンスのあり方について書かれた報告書である。我が国が循環経済への転換を推進するためには、動脈企業が主導的役割を果たす循環経済システムの構築が必要であり、規制的手法のみに依存せず、事業者の自発的創意工夫を市場メカニズムで後押しするインセンティブ設計が重要であるとしている。近年拡大するESG投資の役割が循環経済実現において大きく、循環経済に資する企業の取組が資本市場から適切な評価を受け、国内外から投融資を呼び込む枠組みについて検討を行った。

世界のESG投資は2018年に30.7兆ドルまで拡大し、投資市場の約3分の1を占める状況となっており、日本のESG投資残高は2.2兆ドルで世界第3位である。欧州では循環経済に関するファイナンス促進について検討する専門家委員会が設置され、EU各機関や金融機関が参画して循環経済に資する案件投資に向けた障壁や必要なインセンティブについて分析を行っている。中国でもグリーンボンドカタログの改定が進められ、資源利用やリサイクル活動も含まれており、グリーンファイナンスの拡大が予想される。

企業・投資家レベルでは、BlackRockがエレン・マッカーサー財団とパートナーシップを締結し循環経済ファンドを上場させ、BNPパリバやRobecoSAMも循環経済に特化した投資商品を設定している。これらの動向は循環経済への転換において企業と投資家の協働が重要であることを示している。報告書では循環経済に資する事業活動の類型化や市場規模の試算、企業の情報開示のあり方について検討し、最終的にサーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンスを策定した。