令和2年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(再生プラスチック材料の仕様表記システムに関する実用化検討調査)報告書
報告書概要
この報告は、再生プラスチック材料の仕様表記システムの実用化について書かれた報告書である。経済産業省からの委託により、プラスチックの循環利用促進に向けた調査研究が実施された。近年、パリ協定による二酸化炭素排出抑制や海洋プラスチックごみ問題への対応として、廃棄プラスチックの適切な処理と再生プラスチックの利用が求められている状況である。現状では再生プラスチックの取引は相対取引で行われることが多く、供給側は販路拡大が困難で、需要側は供給量が限られるという制約があった。令和元年度の調査で策定された再生プラスチック材料の仕様表記に関するコミュニケーションツール案を基に、本調査では実際の事業者による試行的取引を実施し、その効果と課題を検証した。研究会を設置し、再生プラスチック供給事業者と利用事業者が参加して、仕様表記データシートを用いた材料選定から物性評価までの一連の取引プロセスを試行した。複数の企業による実証試験を通じて、コミュニケーションツールの有効性が確認され、再生プラスチックの品質情報共有における標準化の重要性が明らかになった。今後の活用方向性として、温室効果ガス削減効果の見える化やトレーサビリティ機能を備えたデータベース構築が提案され、行政による環境整備支援の必要性が示された。
