令和2年度地域経済産業活性化対策委託費(放射線量測定指導・助言事業)事業報告書

掲載日: 2021年7月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 東北経済産業局産業部東日本大震災復興推進室
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報告書概要

この報告は、東日本大震災に伴う福島第一原発事故による工業製品等の風評被害対策として実施された令和2年度放射線量測定指導・助言事業について書かれた報告書である。一般財団法人材料科学技術振興財団が東北経済産業局からの委託を受け、福島県内に設置した拠点において放射線測定サービスを提供し、被害実態の把握および効果的な対策の検討を行った事業の実績をまとめている。

事業の主要な実施内容は、福島県ハイテクプラザ内に設置した福島分室を拠点とした持込測定、現地測定、ゲルマニウム半導体検出器による精密測定の三種類の測定サービスの提供である。専門家チーム6名が配置され、放射線取扱主任者の資格を有する専門家が測定業務と指導・助言を担当した。測定実績として、持込測定では4企業7試料、現地測定では2企業51試料、Ge測定では48企業1049試料を処理し、大部分の試料が基準値以下であった。

風評被害の実態把握のため、過去の測定依頼企業に対するアンケート調査を実施し、その結果から放射線測定の継続必要性や顧客からの要求実態を分析した。調査では、多くの企業が顧客からの要求により測定を継続している実態が明らかになり、特に建設関連業界では砕石・砂利の出荷基準100Bq/kgへの対応が重要な課題となっている。測定項目別では、木材、繊維製品、窯業・土石製品の測定依頼が多く、地域別では県北地域からの依頼が最も多い結果となった。

今後の対策提案として、基準値超過が長期間発生していない品目については事業内容の見直しを検討する一方、継続的な測定需要がある分野については引き続き支援体制を維持することが重要であると結論付けている。また、避難指示解除区域の拡大に伴う事業再開支援や、風評被害対策としての測定証明書の活用継続が必要であることが示されている。