令和2年度産業経済研究委託事業働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本に与える効果と課題に関する調査報告書

掲載日: 2021年7月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局経済社会政策室
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令和2年度産業経済研究委託事業働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本に与える効果と課題に関する調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、フェムテック産業の実態調査と働く女性への経済効果について書かれた報告書である。経済産業省の委託により実施された調査で、女性の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック産業に焦点を当てている。フェムテックは月経、妊娠・不妊、産後ケア、更年期、婦人科系疾患、セクシャルウェルネスの6分野に分類され、各分野で様々な製品・サービスが提供されている。調査結果によると、月経関連症状により日本国内の年間労働損失は約4,911億円に達し、働く女性の94%が仕事のパフォーマンスに影響があると回答している。しかし日本では低用量ピルの服用率が0.9%と諸外国に比べ極めて低く、生理休暇取得者も約12%にとどまっている。フェムテック産業の拡大には安全性・信頼性、プライバシー担保、社会受容性、資金調達、連携先確保といった課題が存在する。これらの課題に対して、ルール整備、啓発活動、産官学連携などの対応策が提案されている。経済効果の試算では、フェムテック活用により2025年時点で約1.9~2.1兆円の経済効果が期待されるとしている。特に不妊治療分野では離職防止により約850億円の効果が見込まれ、女性管理職比率の向上にも寄与するとされている。報告書では、フェムテック産業は黎明期にあり今後の市場拡大が見込まれるものの、女性の健康課題に関する啓発活動や品質担保のルール整備が必要であると結論付けている。