令和2年度内外一体の経済成長戦略に係る国際経済調査事業(人生100年時代/ポストコロナ時代の個人の活動履歴の在り方に関する調査)調査報告書(概要版)
報告書概要
この報告は、人生100年時代とポストコロナ時代における個人の活動履歴のデジタル化について書かれた報告書である。現代では場所や時間にとらわれない多様な働き方が出現し、まさに「個のエンパワーメント時代」が到来しつつあり、学習過程から経済活動・社会貢献まで個人の活動履歴がより重要になっている。しかしながら個人を中心としたDX化については、情報銀行やパーソナルデータの観点で議論されるものの未だ明確化されておらず、その基盤となるPersonal Data StoreやTrusted Web等の構想が提唱されるものの議論が必ずしも進んでいるとはいえない状況である。
本報告書は労働市場のより一層の透明性向上と活性化を実現し、デジタル化の進展等に応じた個人の多様なスキル向上や学び直しの機会の拡大、またこれに伴う精緻で個人主体の人材に関する新規事業の創出や社会保障の充実等へとつなげることを目的としている。国際的にも通用する自己証明基盤として、個人が管理する個人の活動履歴のDX化に焦点をあて、紙証明からの脱却や信頼性の向上、並びに自己実現のために必要な情報の整理とその情報の管理手法等の確立を目指している。
検討事項として機能面では個人の特定と認証、個人データの連携方法、個人データの認証方法が挙げられ、非機能面では個人データの扱い方とUX向上が論じられている。現状の資格発行における身元確認方法を分析し、業務独占資格から民間資格まで様々な資格類型において異なる確認手続きが行われていることが明らかになった。
未来の社会基盤イメージの実現に向けて、政府には資格・証明書のデジタル化推進、ガイドライン等のルール検討、マイナンバーカードを用いたeKYCの仕組み検討等が求められ、民間では資格のデジタル化促進、発行資格の正しさを証明する機能の開発、相互運用可能な社会基盤の開発等が推進すべき事項として整理されている。
