令和2年度内外一体の経済成長戦略に係る国際経済調査事業(人生100年時代/ポストコロナ時代の個人の活動履歴の在り方に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、人生100年時代およびポストコロナ時代における個人の活動履歴のデジタル化について書かれた報告書である。令和2年度に経済産業省が実施した調査事業として、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が受託して実施された包括的な調査研究の成果をまとめている。
報告書は、場所や時間にとらわれない多様な働き方や学び方が出現する中での「個のエンパワーメント時代」の到来を背景に、労働市場の透明性向上と活性化、個人の多様なスキル向上や学び直し機会の拡大を目的として、個人が管理する活動履歴のデジタル化について検討している。調査は、ニーズ実態調査と国際動向調査、有識者検討会の3つの柱で構成されており、機能面では個人の特定と認証、個人データの連携方法、個人データの認証方法を、非機能面では個人データの扱い方とUX向上について詳細に分析している。
国際動向調査では、アメリカ、アジア、欧州・イギリスにおける個人活動履歴のデジタル化の現状を制度、技術、運用の視点から整理し、各国の先進事例を把握している。また、企業や団体を対象としたアンケート調査とヒアリング調査を通じて、個人データの集積側と発行側双方のニーズと実態を明らかにしている。その結果、個人の活動履歴を活用している企業がプラス成長を示していることが確認され、経験やスキル等の情報に対する高いニーズが存在する一方で、情報の標準化が不十分で活用が困難であることも判明している。
報告書は最終的に、未来の社会基盤イメージの実現に向けて、政府に求められることとして資格・証明書のデジタル化推進、ガイドライン等のルール検討、マイナンバーカードを用いたeKYCの仕組み検討などを提言し、民間では発行資格の正しさを証明する機能開発、身元確認基準策定、オントロジーや職業分類の整理などの推進を求めている。
