令和2年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(国際ルールインテリジェンスに関する調査(電動航空機のルール形成(国際標準化含む)戦略に係る調査研究))最終報告書

掲載日: 2021年7月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局航空機武器宇宙産業課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和2年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(国際ルールインテリジェンスに関する調査(電動航空機のルール形成(国際標準化含む)戦略に係る調査研究))最終報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、航空機電動化における国際標準化議論への日本の参画戦略について書かれた報告書である。

近年の電気技術発展により航空機産業でも電動化研究開発が加速し、日本企業の電動化技術に対する欧米航空機メーカーの期待が高まっている。日本の航空機産業を飛躍的に成長させるためには、技術開発だけでなくルール形成の領域にも注力する必要がある。欧米諸国はAirbus、Boeing等のOEMやメガTier1企業が存在し、SAE等の標準化団体へ多くのエキスパートを派遣しているが、日本企業は規模が小さく個社での対応が困難である。

昨年度の調査では電動旅客機の標準化団体SAE内でのルール形成動向を把握し、日本企業の参画可能性を特定した。今年度は日本のエキスパート数増加と影響力向上を目的として、標準化団体参画におけるフローや課題を整理し手引書を作成するとともに、今後の戦略について検討を行った。

旅客機クラスの航空機電動化に関してはSAE Internationalが議論をリードしており、電動航空機のルール形成では規制機関が参照する標準化規格を民間標準化団体が作成している。この中でもSAEが旅客機クラスの電動化議論の主導権を握っている状況である。

調査では個別会議と合同会議を活用し、SAE参加企業と未参加企業双方から知見を収集した。参加メンバーにはJAXA、IHI、川崎重工業、三菱電機等の主要企業が含まれ、標準化団体参画に関する論点整理を実施した。

今後のアクションとして、日本が技術的優位性を保てる領域の選定、適材適所の提案を行える国内体制構築、中長期的な国際標準化議論でのプレゼンス確立が必要とされている。具体的にはSAE窓口機能設置、国内ミラー体制構築、活動経費支援等の施策が提案されている。