令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業バイオエコノミー実現に向けた遺伝子組換え生物等の使用に係る諸外国規制動向及び我が国規制のあり方に関する調査

掲載日: 2021年7月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ生物化学産業課
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令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業バイオエコノミー実現に向けた遺伝子組換え生物等の使用に係る諸外国規制動向及び我が国規制のあり方に関する調査のサムネイル

報告書概要

この報告は、バイオエコノミー実現に向けた遺伝子組換え生物等の使用に係る諸外国規制動向及び我が国規制のあり方について書かれた報告書である。

ゲノム編集を含む合成生物学関連技術の急速な発展により、バイオエコノミー実現に向けた国際競争が加速化している。ゲノム編集技術は従来型遺伝子組換え技術と比較してより正確に高度な組換えが可能であり、経済産業省所管の産業分野における使用拡大が期待されている。しかし、これらの技術により作られた生物等は一部を除き「遺伝子組換え生物等」に該当し、我が国ではカルタヘナ法規制の対象となっている。

調査では技術・利用トレンドの把握として、合成生物学やバイオエコノミー社会における遺伝子組換え・改変生物の新たな産業利用見通しを調査した。遺伝子編集技術を利用した遺伝子治療では、CRISPR/Cas9技術が2012年に発表されて以降、従来のZFNやTALEN技術と比べて高精度かつ設計が容易で費用も安価であるため、急速に研究開発が広がった。2020年6月時点で14品目の遺伝子治療薬が承認されており、そのうち8品目は2016年以降の5年間で承認されている。

諸外国の遺伝子組換え生物等使用規制の現状調査では、米国、EU、英国、ドイツ、中国の規制実態を調査し、重点項目として拡散防止措置、閉鎖系使用に対する政府による規制管理、遺伝子組換えウイルス・ウイルスベクターの規制、研究用試薬としての少量使用における拡散防止措置、遺伝子組換え微生物の開放系使用の見通しと生物多様性・環境影響評価について検討した。国内外の事業者や有識者へのヒアリングを実施し、カルタヘナ法が阻害要因となり得る問題点を整理した。新型コロナウイルス対応では、研究開発第二種使用と産業利用第二種使用における規制の取り扱いが示されている。

遺伝子組換え微生物の開放系使用については、バイオエコノミー社会実現のため微細藻類の大量培養による油脂・燃料・化粧品原料等生産や組換え微生物を活用したバイオレメディエーション等での屋外利用が想定されており、生物多様性影響評価書作成が課題となっている。