令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(FTAAPに向けたAPEC内での電子商及び越境データ移転の調査研究)APECにおけるCBPRの促進策の調査結果報告

掲載日: 2021年7月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局アジア太平洋地域協力推進室
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令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(FTAAPに向けたAPEC内での電子商及び越境データ移転の調査研究)APECにおけるCBPRの促進策の調査結果報告のサムネイル

報告書概要

この報告は、APECにおける越境個人データ移転プライバシールール(CBPR)の促進策について書かれた報告書である。令和2年度に野村総合研究所が実施した調査研究の結果として、APEC域内における電子商取引と越境データ移転の現状と課題を分析している。調査では61の企業・組織に回答を依頼し、12社から回答を得た結果、回答企業の過半数が情報通信業であり、海外拠点を持つ企業では米国・中国に現地法人を有する傾向が明確となった。直近1年間の個人データ越境移転実績では、海外から日本へのデータ移転が最も多く、移転元は現地法人が中心であった。移転される個人データの内容は自社従業員および自社顧客に関するものが大部分を占め、移転目的は自社の内部管理目的が最多である一方、顧客サービス提供目的も一定数存在している。企業が抱える課題として、法令における越境移転の制限内容やその例外に当たる場面が不明確であることが最も大きな懸念事項として挙げられ、次いで本人同意の管理の困難さが指摘されている。各国の個人情報保護法制の調査が個々の事業者に委ねられることによる非効率性や、クラウドサービス利用による事実上の越境移転の普遍化、急速なサービス拡大に伴うGDPR対応の必要性などが具体的な課題として認識されている。報告書は最終的に、信頼に基づく自由なデータ流通(DFFT)の概念を促進し、APECが電子商取引に関する多国間ルール形成において積極的な役割を果たすべきであると結論付けている。