令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(中東周辺地域における「自由で開かれたインド太平洋協力」の具体化等に向けた委託調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、中東・アフリカ地域における「自由で開かれたインド太平洋協力(FOIP)」の具体化に向けた国際経済調査について書かれた報告書である。
調査の背景として、中国を含む諸外国が中東・アフリカ地域への積極的な進出を行っており、これが日本のエネルギー安全保障や日本企業の進出に影響を与えている状況がある。新型コロナウイルス問題と油価急落により経済・財政事情が深刻化する中東地域及び周辺アフリカ諸国において、第三国の事業展開状況を調査し、FOIP構想と呼応した事業機会を見出すことが目的とされている。
調査対象国として、中東では日本の石油輸入上位5カ国(サウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、オマーン)、アフリカではGDP上位4カ国(エジプト、アルジェリア、モロッコ、エチオピア)とケニアが選定された。調査方法は文献調査とインタビューを組み合わせて実施されている。
中国の中東・アフリカ地域への投資状況について詳細な分析が行われ、特にMENA地域とサブサハラ地域での投資の伸びが顕著であることが示されている。中国は一帯一路構想の下、国営企業を中心として実行力を持って迅速に展開している状況が明らかにされている。
今後の協力方策として、中東地域ではグリーンテクノロジーやフィンテック分野での協力、民営化支援、北アフリカ地域への共同進出が提案されている。アフリカ地域では基礎インフラ整備での日本の技術力活用、人口の多い国への注目、テクノロジー・デジタル化分野での協力が示されている。
第三国との連携については、米国、インド、オーストラリアとの協力により、それぞれの強みを組み合わせたソリューション提供が提案されている。課題として、FOIPの効果的展開のための関係者連携強化、パッケージソリューション開発、実績積み上げの必要性が指摘されている。
