令和2年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(ルール形成戦略に係る調査研究(アジア型循環経済モデルに関する調査事業))報告書

掲載日: 2021年7月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局資源循環経済課
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令和2年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(ルール形成戦略に係る調査研究(アジア型循環経済モデルに関する調査事業))報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、ASEAN主要国(タイ、インドネシア、ベトナム)におけるアジア型循環経済モデルの構築に関する調査報告書である。経済産業省が令和2年度に三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して実施された調査であり、廃棄物処理・資源循環分野における法制度、標準、政策について包括的な分析を行っている。

調査では、プラスチックと衣類を中心とした循環経済の実態について、各国の流通量、関係プレイヤー、国・地方自治体との連携状況を詳細に調査している。また、欧州企業や政府機関との協力関係についても分析を実施している。さらに、日本と欧州における同様の循環経済システムを調査し、日欧モデルとの比較検討を通じて、アジア特有の循環経済モデルの特徴を明確化している。

ASEAN諸国では、欧米のような製品別リサイクル制度や家庭廃棄物の分別制度が確立されていない国が多いものの、様々なステイクホルダーの自主的取組により実質的な資源循環が図られている。しかし、適切な処理が施されないケースも多く、特に海洋プラスチックごみ問題や不適正処理による環境汚染が深刻な課題となっている。

報告書では、これらの課題分析を踏まえ、各国事情に配慮したアジア型循環経済モデルの構成要素を特定している。インドネシアについては、廃棄物管理システムの改善や分別回収の促進、技術支援による処理能力向上が重要とされている。タイでは、政策実施の強化や産業連携の促進、技術移転による高度化が求められている。ベトナムについては、法令整備の運用強化、普及啓発活動の展開、廃棄物発電技術の導入支援が必要である。

日本からの協力可能性として、制度設計支援では環境配慮設計事例の紹介や監視取締制度構築への支援が挙げられている。普及啓発分野では、自治体における不法投棄防止活動のノウハウ提供や分別回収促進の支援が可能である。技術協力においては、廃棄物発電施設導入や再生材製造技術の提供が期待されている。これらの協力は相手国のニーズを満たすとともに、日本企業の現地展開促進にも寄与する可能性がある。