令和2年度二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(市場メカニズム交渉等に係る国際動向調査)報告書和文(公表用)

掲載日: 2021年8月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局環境政策課地球環境連携室
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報告書概要

この報告は、パリ協定の下での市場メカニズムに関する国際動向について書かれた報告書である。2020年度に実施された調査において、パリ協定第6条の市場メカニズム交渉の動向、関連する国際的な動向、各国の市場メカニズムの状況について包括的に分析している。パリ協定第6条では協調的アプローチ、第6条4項メカニズム、非市場アプローチという3つの措置が規定されており、それぞれの実施規則の策定が求められているが、COP24からCOP25を経てもなお合意に至らず、コロナ禍によりCOP26が延期される状況となった。交渉における主要な対立点は、Share of Proceedの適用範囲、ダブルカウント回避のための相当調整の適用、京都議定書CDMからの移行問題であり、各国は環境十全性重視、ボトムアップ分権的取組み重視、トップダウン中央集権的取組み重視、非市場アプローチ重視という4つのグループに分類される立場を示している。一方で民間企業によるボランタリークレジット市場が拡大しており、ネットゼロ目標を設定する企業の増加とともに今後の市場動向に大きな影響を与える可能性が指摘されている。また国際民間航空機関のCORSIAも2021年から実施予定であり、適格な排出ユニットに関する決定が行われた。各国の動向では、米国でバイデン政権によるパリ協定復帰、EU の欧州グリーンディール、中国の全国排出量取引制度開始、韓国の2050炭素中立戦略といった重要な政策展開が見られ、市場メカニズムを活用した温室効果ガス削減への取組みが世界的に加速している状況が明らかになっている。