令和2年度中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業(中部地域における中小製造企業等のサイバーセキュリティ促進強化事業)に係る調査報告書
報告書概要
この報告は、中部地域における中小製造企業等のサイバーセキュリティ対策促進強化事業について書かれた報告書である。
デジタル化の進展やコロナ禍によるテレワーク普及により、IoTやロボット等の活用が進む中で、中小製造業におけるサイバー攻撃の脅威が増大しており、サプライチェーン全体への影響も懸念されることから、本事業では中部地域5県の中小製造業等20社を対象とした企業ヒアリング、支援機関10機関へのヒアリング、サイバーセキュリティセミナーの開催を実施した。企業ヒアリングでは、IoTやロボット活用により生産性向上やコスト削減、省力化に効果が見られ、人材獲得や育成にも予想以上の成果が確認された一方で、導入サポートの必要性やサイバーセキュリティ対策への課題も明らかになった。支援機関ヒアリングでは、セキュリティ簡易診断や監視ソフト導入、問い合わせ窓口開設等の支援を実施しているものの、中小企業では「セキュリティは後回し」「お金をかけられない」「当社には関係ない」という意識があり、経営層の強い意識と協力がないと着手されない傾向が判明した。セミナーは定員30名に対し86名の申込みがあり関心の高さが示されたが、自社のセキュリティ対策充実度を6以下と評価する企業が72.7%を占めた。総括として、IoT成功には自社課題の明確化と現場体制整備が重要であり、サイバーセキュリティ対策では知識不足、人材不足、コスト面の課題があることが判明した。特にIoTやロボット導入特有のセキュリティリスクについては十分な認識が不足しており、今後は産学官の支援機関を通じた啓蒙活動や先行事例の共有を進める必要があるとされている。
