令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(バルク貯槽告示検査方法効率化技術及びLPガス配管内圧力等の測定・点検システムに係る調査研究)に関する報告書〔バルク貯槽告示検査方法効率化技術に係る調査研究〕

掲載日: 2021年8月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループガス安全室
委託事業者: 高圧ガス保安協会
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令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(バルク貯槽告示検査方法効率化技術及びLPガス配管内圧力等の測定・点検システムに係る調査研究)に関する報告書〔バルク貯槽告示検査方法効率化技術に係る調査研究〕のサムネイル

報告書概要

この報告は、バルク貯槽の告示検査方法効率化技術に関する調査研究について書かれた報告書である。平成8年の液化石油ガス保安法改正により導入されたバルク供給システムでは30万基以上のバルク貯槽が生産され、製造後20年で初回告示検査、以降5年周期の告示検査が義務付けられている。しかし現状では検査の作業性や経済性の観点から多くが再検査せずに廃棄され新規設置されており、製造事業者数も半減していることから、安定供給への懸念が生じている。本調査では初回告示検査合格後のバルク貯槽を対象として経年劣化調査を実施し、内面検査、非破壊検査、外面検査の妥当性を検討した。内面検査では残留ガスの成分分析により硫化水素は検出限界未満で腐食性はなく、供用中の内部環境は腐食進行しやすい状況ではないことが確認された。非破壊検査では磁粉探傷試験により溶接部の欠陥検査を実施し、進展性のある割れは検出されなかったものの、初回検査で行わなかった箇所からも磁粉模様が確認され、溶接線全線での検査の必要性が示された。外面検査では塗膜試験によりフタル酸樹脂エナメルの劣化期間は4年、ポリウレタン樹脂では22年と推定され、適切な再塗装処置の重要性が明らかになった。検査手法の作業性評価では塗膜上からの非破壊検査方法を検証し、磁粉探傷試験が最も優位であることが確認されたが、検査できない範囲については他の手法との併用が必要である。これらの結果を踏まえ、外面検査は5年ごと、内面検査は大気接触があった場合のみ、非破壊検査は初回100%実施後15年以内は不要とする合理化案を提示し、安全性を担保しながら検査の効率化を図る技術基準案を策定した。