令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託費(業務用ガス燃焼機器安全性向上対策に係る調査研究)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省委託による業務用ガス燃焼機器の安全性向上対策について書かれた調査研究報告書である。
本調査は、業務用厨房施設において使用されるガス燃焼機器による一酸化炭素中毒事故やガス漏えいによる火災・爆発事故の防止対策を検討することを目的として実施された。業務用ガス燃焼機器では立ち消え安全装置の搭載率が低く、中古機器の流通により安全装置非搭載機器が長期間使用される実態があるため、これらの機器を使用する上での安全性向上が急務となっている。
調査内容として、まず安全対策の実態調査が行われた。業務用ガス燃焼機器製造事業者及び業界団体に対してメンテナンスの頻度や内容、定期メンテナンス契約状況についてアンケート調査を実施し、業務用厨房施設におけるCO警報器の設置状況についても地域差を含めて詳細な調査が行われた。
次に、業務用ガス燃焼機器及び業務用厨房設備に対する具体的な対策が検討された。不完全燃焼防止対策では、不完全燃焼防止装置搭載機器の開発・普及促進と換気扇連動システムの可能性について業界関係者へのヒアリングを通じて検討された。漏えい事故防止対策では、過去の事故事例分析に基づいて原因分類と対策案の整理が行われ、立ち消え安全装置の範囲限定義務化の可能性が検討された。
さらに、IoT技術の活用可能性についても調査が実施された。業務用厨房施設における事故防止対策にIoT技術がどのように貢献できるかについて業界関係者からの意見聴取が行われ、将来的な技術導入の方向性が検討された。また、業務用ガス燃焼機器の技術基準について、メンテナンス内容及び頻度の見直しを含む基準案の作成が行われた。
CO警報器の設置促進についても重点的に検討され、ガス事業者や警報器製造事業者へのヒアリングを通じて普及の障害となっている要因の分析と解決策の検討が行われた。
本調査研究は、一般財団法人日本ガス機器検査協会が実施主体となり、学識経験者、業界団体代表者、関係省庁担当者等で構成される「業務用ガス燃焼機器安全性向上対策委員会」を設置して検討が進められた。令和2年10月から令和3年3月にかけて3回の委員会が開催され、調査結果の評価と今後の事故防止対策の方向性について議論が行われた。
